血液=感染源は忘れられがち
保育園ではすり傷やひっかき傷、鼻出血は日常的にみられます。
しかし、それらの処置をする際、「血液=感染源(病原体が潜んでいる)」ということは忘れられがちです。
実際に、素手+ティッシュで傷口を抑えたり、血液のついた衣類をビニール袋などに入れずに汚れ物バッグの中に入れてしまったりなど、ヒヤヒヤする場面に遭遇したことがあります。
保健担当者(看護師)は、職員へ正しい血液の取り扱いを共有する必要があります。
職員への血液の取り扱い指導
血液の取り扱い方の指導手順をご紹介します。
①血液がなぜ危険なのか
血液には病原体(感染症を引き起こす原因)が潜んでいることがあります。
病原体が傷口や目、口などの粘膜から入り、感染症を発症します。
このような血液媒介型感染症で有名なのが「HIV(ヒト免疫不全ウイルス)」と「B型肝炎」です。
B型肝炎ウイルスは感染しても70~80%は症状が現れず自然に治りますが、残りの20~30%は急性肝炎を起こし、内2%が劇症肝炎(70%の人が亡くなる重症疾患)となります。
また、慢性的にB型肝炎ウイルスを持っている人(B型肝炎キャリア)は、85~90%は免疫ができますが、残りの15~20%は肝臓の病気を発症するといわれています。
B型肝炎キャリアが家族にいる場合は、ワクチンを接種し免疫力を獲得する必要があります。
傷口から赤い血以外に薄い黄色の液体が出てくることもあります。これは「浸出液」といい、傷口を治す役割があります。この浸出液も血液の一部なので、血液と同様の扱いをする必要があります。
②血液の正しい取り扱い
- 血液に触れる、もしくはティッシュなどで血液を覆う場合は決して素手で触らない。
- 血液を扱う場合は「使い捨て手袋」「ビニール袋」を手にはめる。
- 血液の付着したもの(使い捨て手袋等も含む)はビニール袋にいれ、口を結んで破棄する。
- 血液が付着した衣類は、使い捨て手袋を着用し石鹸と流水で洗い、ビニール袋に入れて保護者の方へ渡す。(園によっては血液付着物は洗わずに袋にいれて渡すところもあるそうです。)
- 血液の流出がみられなくても、皮膚の軟膏塗布は使い捨て手袋を使用する。
母乳も血液の一種です。保育園で冷凍母乳を扱う際も、同様の取り扱いが必要になります。
正しい知識を共有しよう
血液は身近なものですが、感染症を引き起こす怖い存在でもあります。
正しい知識で感染症を予防しましょう。
厚生労働省のガイドラインにも血液の取り扱い方法が記載されているので、こちらも参考にしてみてください。