熱中症で救急車を呼ぶ基準
応急処置の方法を解説する前に、救急車を呼ぶ基準を解説します。
意識がない、受け答えができない
意識がないときはすぐに救急車を呼びます。
救急車到着までの間、涼しい場所に移動し、衣服を緩め、体を冷やします。
首、腋の下、太腿のつけ根(鼠径部)といった太い血管がある部分を冷やしましょう。
水分補給は大切ですが、意識がはっきりしていないときは誤飲のリスクがあるため飲ませないようにします。
水分が摂れない
意識があっても水分が摂取できない場合、急速に症状が悪化する可能性があります。
この場合、すぐに医療機関を受診するか救急車を呼びましょう。
医療機関へむかう途中や、救急車到着までにも、涼しい場所へ移動・衣服を緩める・冷却の応急処置を行います。
症状が全く改善しない
応急処置を行っても熱中症の症状が改善しない場合も、すぐに医療機関を受診するか、救急要請を行いましょう。
症状の変化や応急処置の内容をよく把握しておきましょう。
医療機関へ症状を伝えるべきポイント
- 熱中症になるまでの状況(食事や飲水状況、活動場所の環境、活動内容、いつもと違う様子はあったか)
- 熱中症になったときの状況(機嫌、意識、頭痛、嘔吐、めまい、だるさ、汗の量、尿の状態、体温)
- 応急処置の内容
- 最近の様子(体調、睡眠、食欲)
- 基礎情報や既往歴(身長、体重、既往歴、飲んでいる薬)
熱中症の応急処置
①なるべく涼しいところに運ぶ
まずは、風通しのよい日陰や、できれば冷房の効いた涼しい室内に避難させます。
②衣服をゆるめて寝かせる
衣服をゆるめることで、体から熱の放散を促します。
ボタンをはずし、サスペンダーなど締め付けのあるものを取りましょう。
とくに首回りはゆるめて風通しを良くします。
③冷却
首、腋の下、太腿のつけ根(鼠径部)を冷やします。
冷やすものは、
- 水で濡らした冷たいタオル
- 冷やしたペットボトル
- ビニール袋入りのかち割氷
- 保冷剤
- 氷のう
などを使用しましょう。
自動販売機やコンビニエンスストアでも購入できます。
患児に最低1人は付き添う人を確保してから購入しましょう。
子どもを救えるかどうかは、いかに早く体温を下げることができるかにかかっています。冷却はできるだけ早く行いましょう。
④水分補給
意識がはっきりしていれば少しずつ、欲しがる分だけ水分を摂らせます。
冷たい飲み物は胃の表面から体の熱を奪うことができます。
もしあれば、ベビー用イオン飲料や経口補水液を摂らせましょう。
経口補水液の作り方
湯冷まし500mlに砂糖20g、塩1.5gを加えます。
柑橘系フルーツ汁を少し加えると飲みやすくなります。
熱中症は医療機関受診の判断や応急処置がその後の回復に大きく関わります。
迅速に適切なケアを行っていきましょう。
・環境省 熱中症環境保健マニュアル 2018(ダウンロード)
・渋谷紀子(2019)『はじめてママ&パパの0~6才病気とホームケア』主婦の友社